haccosidoでは、家庭的な和朝食を通して、豊田に根付く味噌文化の魅力を体験できます。具だくさんの豚汁や土鍋で炊いたごはんなど、心と体が温まる一膳を味わってみませんか。
2026.02.05-
目次
- 発酵食と家庭料理
- haccosido:発酵食への愛から生まれた場所
- haccosidoの朝食:赤味噌で味わう家庭料理
- haccosidoのランチと午後の楽しみ
- 職人仕込みの味噌と漬物:haccosidoの物販コーナー
- まとめ
発酵食と家庭料理

これまでのHAKKOサイト内の記事では、発酵食材を生み出す職人や、それらを生かした革新的な料理を提供するシェフたちを紹介してきました。
一方で、日本で暮らしていない方にとって、こうした発酵食材を日々の家庭料理でどのように使うのかを具体的に思い描くのは、決して簡単ではありません。だからこそ私たちは、味噌汁がもたらす心温まるひとときや、味噌・醤油・漬物といった発酵調味料が、日常の食材をどれほど豊かな味わいへと引き上げてくれるのかを体感してほしいと考えました。
そんな想いから今回ご紹介するのが、豊田市にある小さくて魅力的なカフェ「haccosido」です。ここでは、昔ながらの家庭の味を大切にした和朝食をはじめ、発酵の知恵と美味しさを存分に楽しめる多彩な料理が味わえます。
haccosido:発酵食への愛から生まれた場所

haccosidoを運営するのは、1927年創業、赤味噌や味噌漬けを手がける豊田の老舗・丸加醸造場。2022年にオープンしたこのカフェは、なんと製造元である味噌蔵のすぐ隣という、他にはないロケーションにあります。

一歩足を踏み入れると、蔵の歴史を随所に感じられる、丁寧にリノベーションされた空間が広がります。店内の壁には、かつて蔵で使われていた木桶の木材を再利用しています。長年にわたり同社の看板商品である味噌を熟成させてきた素材に囲まれながら食事を楽しむことができます。

店内を包むやわらかく落ち着いた光は、発酵蔵の静かな”暗さ”を表現したかのようです。まさにそのような環境の中で、木桶は熟成中の味噌を守り、有用な菌がその複雑な風味を育んできました。
発酵の恵みを伝えるためにデザインされたhaccosidoでは、丸加醸造場の発酵食材を使ったさまざまな料理が提供されています。朝8時から楽しめる心安らぐ和朝食はもちろん、ランチや午後の軽食で訪れても、地域に根差したうま味の奥深さを感じることができるでしょう。
haccosidoの朝食:赤味噌で味わう家庭料理

日本においてでさえ、旅の中で「家庭的な和朝食」が持つ、素朴でありながら深い喜びを味わえる機会はそう多くありません。ホテルの朝食ビュッフェで雰囲気を感じることはできても、旬の野菜が器からあふれんばかりに盛られた一杯―母や祖母の台所でこそ感じられるような、あのささやかな“気遣い”まではなかなか感じられないものです。
その本物の思いやりを体験できるからこそ、私たちはhaccosidoの朝食をおすすめします。朝8時から10時(ラストオーダーは9時)の間に提供されるモーニングメニューには、家庭料理の心がしっかりと息づいています。

食事の主役は、具だくさんの豚汁。そこに、土鍋でふっくらと炊き上げたごはん、だし巻き卵や味噌漬けの野菜など、上品な副菜が添えられます。
なかでも圧倒的な存在感を放つのが豚汁です。器からこぼれ落ちそうなほど盛られた旬の野菜の量に、きっと驚くことでしょう。とろりとした揚げナス、風味豊かなきのこ、色鮮やかな人参。仕上げに添えられたおろし生姜の爽やかさが全体を引き締め、見た目にも食欲をそそります。
しかも、このボリュームが通常サイズ。さらに食欲旺盛な方には、野菜がより一層山盛りになる「大盛り」もありますよ。

実際にいただいて印象的だったのは、味噌の風味がすべての具材にしっかりと染み込みながらも、それぞれの素材の味を消しているということは決してなかったことです。店長の小栗かすみさんによると、その秘密は仕込みにあると言います。豚汁は提供の前日に仕込み、ひと晩寝かせているのだそう。この工程によって味がまろやかに馴染み、赤味噌の風味が強くなりすぎるのを防いでいます。

さらに楽しみなのが、土鍋から自分でよそうごはん。日本人なら誰もが知る、鍋底にできる「おこげ」を探すひとときは、どこか懐かしい幼少期の記憶を呼び起こしてくれます。

副菜はあえて控えめな量で提供され、豚汁が食事の主役となる構成になっています。味噌漬けにした山ごぼうなど、歯切れのよい食感と爽やかな風味を持つ一品は、口の中をさっぱりと整え、次のひと口を誘います。

haccosidoの朝食は、まさに五感で味わう喜びに満たされていました。一杯の汁物の中に、これほど多彩な味の調和があること、そして良質な味噌が素材一つ一つを引き立てることを、ぜひじっくりと感じてみてください。味噌や醤油、漬物といった日本の定番食材が持つ温かさと奥深さを実感し、心も体も満たされた状態で店を後にするはずです。
haccosidoのランチと午後の楽しみ

Picture courtesy of haccosido
朝食の時間に間に合わなくても、haccosidoではランチタイムにも、心のこもった料理を存分に楽しむことができます。ランチメニューは、彩り豊かな前菜の盛り合わせとメインディッシュで構成されています。

Picture courtesy of haccosido
前菜には、旬の野菜を自家製ソースで香ばしく焼き上げた、色鮮やかで食欲をそそる一皿が並びます。ソースには味噌や、3年熟成の濃厚な旨味をもつたまり醤油を使用。立ちのぼる芳醇な香りとうま味が、自然とメインへの期待を高めてくれます。

Picture courtesy of haccosido
メインディッシュには、たとえば塩麹で漬けた鶏むね肉のグリルなどが用意されています。塩麹という伝統的な発酵調味料が、肉を自然にやわらかくし、鶏肉本来の甘みとコクを引き出します。炊きたてのごはんと、丸加醸造場の赤味噌を使った特製の味噌汁が添えられます。
たんぱく質とビタミンをバランスよく摂れる、栄養たっぷりの食事は、豊田の街歩きに向けたエネルギー補給にも最適です。一口ごとに、発酵食材を日々の料理に無理なく取り入れるヒントが感じられるでしょう。

Picture courtesy of haccosido
午後のメニューでは、発酵の“甘さの一面”を楽しめる創作デザートが揃います。鮮やかなマンゴーソースをあしらったなめらかな甘酒のパンナコッタ、たまり醤油のコクをほのかに効かせたバスクチーズケーキ、味噌の塩味と旨味を生かした濃厚なチョコレートケーキなど、どれも印象的な味わいです。豊田での夜を楽しむ前の、午後のひとときにぴったりのスイーツと言えるでしょう。
何より印象的なのは、これらの発酵食材が家庭のキッチンでも驚くほど自然に使えるということが実感できる点です。醤油は塩の代わりに使うことで、料理に香り高い奥行きを与え、味噌はデザートにさえも洗練されたコクを添えてくれます。飲み物として健康効果が注目されがちな甘酒も、繊細なパンナコッタへと姿を変え、その汎用性を示しています。
味噌や醤油といった発酵の定番調味料は、甘い料理にも塩味の料理にも対応できる、非常に柔軟な存在です。使い方次第で、どんな一皿も一段引き上げてくれる力を秘めています。
職人仕込みの味噌と漬物:haccosidoの物販コーナー

店で味わったあの味を自宅でも再現したい—そう感じた方に朗報です。入口近くに設けられた専用コーナーでは、丸加醸造場が手がけるさまざまな発酵商品が並びます。看板商品の赤味噌はもちろん、ランチで提供されていた山ごぼうやたくあんといった味噌漬けも購入できます。

食事の中で味わった副菜以外にも、ぜひ注目したいのが「三河おにぎり味噌」。手作りのおにぎりに使えば、ひと塗りでうま味がぐっと引き立つ万能調味料で、料理好きの方へのお土産にも最適です。

これらの発酵食材はすべて、隣接する丸加醸造場の蔵で造られています。実際、カフェと味噌蔵を隔てているのは一枚の木の壁だけ。その向こうでは、今も大きな桶の中で新しい味噌が静かに発酵を続けています。

あわせて訪れたいのが、丸加醸造場の直営ショップ。家庭用に楽しめる発酵食品が、さらに幅広く揃っています。地元で親しまれている「豊田のみそだれ」は、冷奴や焼きナス、こんにゃくなどによく合う、使い勝手の良い味噌ベースの調味だれです。
本格的でありながら手に取りやすい価格帯のこれらの商品は、日本の発酵食文化の中心地・名古屋を感じられる、お土産としてもぴったりの一品と言えるでしょう。
まとめ
今回ご紹介したhaccosidoが、名古屋の旅程に新たな目的地として加われば幸いです。
店舗は名鉄三河線・越戸駅からほど近く、名古屋からは知立駅での乗り換えを含めて、約1時間でアクセスできます。
豊田に根付く発酵食文化を通して、新たな味覚の世界に出会ってみませんか。名古屋近辺での食の旅を始めるのに、これ以上ない出発点となるはずです。