金沢のヤマト・糀パークで、日本が誇る糀菌に触れる体験をしましょう。無料のガイドツアーや体験ワークショップを通じて、味噌・醤油・日本のお酒の作り方を学べます。
2026.07.16糀:日本の発酵に欠かせない存在
日本の発酵文化をテーマにした本シリーズでは、味噌・醤油・日本酒・みりんなど、歴史ある作り手とその製品をご紹介してきました。
これらすべての食品に共通する、なくてはならない存在が「糀(Aspergillus oryzae)」です。この有益な菌は発酵プロセスを促進し、シンプルな原材料を変容させ、その風味を豊かに引き出します。
古くから神事のお神酒造りに使われてきた糀は、日本の食文化にとって非常に重要な存在であり、国菌(こっきん)として公式に指定されています。
糀の働きをより深く理解するために——そしてなぜ日本でこれほど大切にされてきたのかを知るために——金沢にあるヤマト・糀パークはまさに最適な場所です。ガイドツアー、体験アクティビティ、試食、そしてお食事まで、五感を通じて糀の魅力を発見できる施設です。
ヤマト・糀パークツアー:あの味の秘密を学ぼう

ヤマト・糀パークが位置するのは、歴史ある大野地区。江戸時代から金沢と日本海沿岸を結んできた港町です。パークを運営するのは、1911年創業の地元メーカー「ヤマト醤油味噌」です。

施設を存分に楽しむなら、無料のガイドツアーへの参加がおすすめです。ツアーは毎日(水曜定休)開催されており、開始時間は以下の通りです:平日は11:00と14:00、土日祝は11:00、13:00と14:00。
この30分のツアーでは、日本の湿潤な気候のなかで育まれる菌・糀が、いかに日本料理の根幹を担っているかを学べます。味噌・醤油・日本酒といった定番食材も、糀なしには生まれません。

糀菌はタンパク質やデンプンをアミノ酸や糖に分解する酵素を生み出し、味噌や醤油に代表される発酵食品のうまみ豊かな風味を生み出します。また、糀の種類によって風味も異なります。米糀は味噌や日本酒の醸造に使われることが多く、麦糀は醤油づくりに欠かせない存在です。
ツアー中は、ヤマト醤油味噌が手がけるさまざまな製品を試食・飲み比べする機会もあります。訪問時には、玄米甘酒を2種類いただきました。玄米を糀で発酵させたノンアルコールの甘い飲み物で、自然な甘みと豊かな香りが印象的。栄養価も高く、ツアー後にショップで購入する価値は十分あります。

また、熟成期間6ヶ月・8ヶ月・1年の味噌を比べてみる体験も。時間の経過とともに色や香りがどう変わるかを実感できるのは、なかなか興味深いものでした!あっさりとした若い味噌を好む人もいれば、長期熟成ならではの濃厚なうまみに魅力を感じる人もいるでしょう。
ツアーは日本料理とその優れた栄養バランスに関する発見にあふれています。質問も大歓迎なので、味噌や醤油を日々の料理に取り入れるヒントを聞いてみるのもいいかもしれません。

ツアーの締めくくりは、歴史ある埠頭での屋外見学。江戸時代(1603〜1868年)から明治時代(1868〜1912年)にかけて、北前船がここに停泊し、金沢産の醤油や味噌を積み込んで北海道や日本海沿岸の各港へと旅立っていきました。この重要な交易路が、金沢を職人と商人の街として栄えさせ、ヤマト醤油味噌のような老舗企業の発展を支えてきたのです。

かつての埠頭に立つと、自分が「生きた歴史」の真っただ中にいることを実感します。金沢の豊かな食文化と経済を今も支え続けるこの場所で、時を超えたつながりを感じてみてください。
みそぼーる作り体験で、金沢の味を家庭へ

味噌の魅力を知り、自宅でも楽しむ方法を学ぶなら、ヤマト・糀パークの「みそぼーる作り体験」への参加がおすすめです。20分間の体験型ワークショップで、お子さまと一緒に楽しめるアクティビティとしても人気です。(※平日は11:40〜、土日祝は11:40〜・14:30〜開催。参加費1,320円。1回6名まで。3名以上の場合は3日前までに要予約)
スタッフの指導のもと、ヤマトの味噌に粉末だしを混ぜ合わせ、うまみ豊かなベースを作ります。次に、お好みの具材を3種類選んでブレンドし、15グラムのみそぼーるを3つ成形します。

最後に、カラフルなトッピングでデコレーションを施し、一つひとつ個包装にしてお持ち帰りすることができます。自宅では、みそぼーる1つにお湯160mlを注ぐだけで、手軽においしい味噌汁が完成します。

味噌汁を飲んだことがある方なら、ヤマト醤油味噌の味噌に特有の自然な甘みを感じるかもしれません。金沢地域に伝わるスタイルである「米味噌」は、大豆と米を塩・糀とともに発酵させて作られます。
一方、名古屋周辺では「豆味噌」が有名で、その代表格が八丁味噌。大豆のみを糀と塩で発酵させるため、色が濃く、力強い風味が特徴です。こうした地域ごとの違いを知ると、味噌の奥深さと日本食における味噌の重要性を改めて感じることができます。
みそぼーる作り体験 概要
・開催時間:平日 11:40、土日祝 11:40・14:30(※水曜定休)
・参加費:1,320円(税込、お土産付き)
・定員:1回6名まで
・予約:3名以上の場合は要予約
・お問い合わせ:hishihogura@yamato-soysauce-miso.co.jp
どぶろく試飲と食事を含む訪日客向けの発酵ツアーも!

ヤマト・糀パークでは、海外からのお客様向けに「金沢歴史蔵元の発酵ツアー(試飲・ランチ付き)」を開催しています。日本の発酵文化を深く学べる充実した内容で、試飲やランチもお楽しみいただけます。さらに、伝統的な濁り酒である「どぶろく」を試飲できる貴重なチャンスもあります。
ヤマト醤油味噌では2024年からどぶろくの醸造を開始し、独自の玄米甘酒をベースに使用しているのが特徴です。精白していない米を使うことで天然の栄養素がそのまま残り、豊かな香りと深みのある味わいが生まれます。

もともと醤油・味噌の専業メーカーだったヤマト醤油味噌がどぶろく醸造に踏み出したのには、明確な理由があります。味噌やもろみ(醤油の原料となる発酵物)と並び、どぶろくは糀菌・乳酸菌・酵母という発酵の三大要素をすべて含む、数少ない食品のひとつなのです。
長年にわたって全国的に厳しく規制・限定生産されてきたどぶろくですが、近年その複雑な風味と高い栄養価が再評価され、再び注目が集まっています。ヤマトにとって、どぶろくへの挑戦はごく自然な流れだったといえるでしょう。
試飲は「金沢天晴山藤濁酒研究所」のテラスで行われ、川と白山を望む絶景が広がります。白山は、ヤマトの醸造に使われる清らかな湧き水の源でもあります。
地元の湧き水を一口いただいてから、2種類のどぶろくを飲み比べます。

今回試したのは、「柚子どぶろく」と「カシスどぶろく」。柚子はさわやかな柑橘の香りが印象的で、カシスは玄米ベースのコクと調和した、フルーティーで深みのある味わいです。どちらもなめらかな口当たりで、体の内側からじんわりと広がる温かみを感じます。これは栄養豊富などぶろくならではの特徴です。
アルコールを控えめにしたい方には、炭酸水で割るのもおすすめ。アルコール感がやわらぎ、より飲みやすくなります。
伝統的などぶろくの世界を体験したい方は、ひしほ蔵でこれらのどぶろくは購入することができますので、ぜひ試してみては?
体に優しい糀ランチ「発酵食美人食堂」

ヤマト・糀パークを訪れたなら、レストラン「発酵食美人食堂」での食事は欠かせません。糀をはじめ、ヤマト醤油味噌のこだわり食材を使ったメニューが揃います。
糀カレーや玄米おにぎりと味噌汁のシンプルなセットなど、さまざまなメニューがありますが、特におすすめしたいのが「発酵食美人ランチ」。発酵食品の魅力を存分に味わえる、バランス抜群の一食です。
メニューは旬の食材に合わせて月替わりですが、ヤマトの看板商品「かなえ味噌」を使った濃厚な味噌汁と、寝かせ玄米®は常時提供される定番メニューです。

訪問時にいただいたのは、糀に漬け込んだ焼き魚と鶏肉。糀の効果で素材にほんのりとした甘みと香りが加わり、食感はしっとりと柔らか。こんなにおいしい焼き魚と鶏肉は初めてと感じるほどでした!
寝かせ玄米® にも感動しました。通常の玄米も風味豊かで消化されやすいですが、寝かせ玄米® はさらに軽やかで胃への負担が少ない印象です。また、ヤマトの名品・醤油ポン酢でさっぱりと仕上げたサラダと漬物も絶品でした。
「発酵食美人ランチ」は、まさに五感で味わうごちそう。一口ごとに、体に真っ直ぐ届く滋養を感じられます。
14:30以降はカフェタイムに切り替わり、自家製ケーキやスイーツとともに、さまざまなドリンクをお楽しみいただけます。
なお、発酵食美人食堂は会員制を採用しており、お食事の前に会員登録が必要です。登録はとても簡単で、アプリからは予約ができたり、初回来店時には特典プレゼントもあるので、ぜひ事前にご登録を!
ヤマト・糀パークのおみやげとスイーツ

帰る前に、ヤマト・糀パーク内のショップ「ひしほ蔵」にぜひ立ち寄ってみてください。友人へのおみやげはもちろん、自分用の食材もきっと見つかります。

ヤマトの定番味噌・醤油をはじめ、特製ドレッシング、スイーツ、健康飲料まで、ラインナップは驚くほど充実しています。
健康的なおやつや食品をお探しなら、天然のエナジードリンクとも呼べる玄米甘酒がおすすめです。また、個包装で販売されている寝かせ玄米®は、保存・加熱が簡単で自宅で手軽に楽しむことができると人気の一品です。
日本の伝統的なお酒に興味がある方には、ヤマト醤油味噌が手がけるどぶろくをぜひ。軽くて持ち運びやすい容器に入っており、旅ナカの持ち運びにも便利です。ただし要冷蔵のため、移動時間が長い日や国際線のフライトには不向きかもしれません。

海外へのおみやげをお探しなら、フリーズドライの味噌汁パックがおすすめです。ほうれん草・なす・のりなど、豊富なフレーバーが揃っており、大切な人に日本の本物の味を届けるのにぴったりです。カラフルで軽量、長期保存も可能なので、スーツケースにも楽々収まります。

また、醤油ポン酢をはじめとするヤマトの定番調味料も要チェック。サラダドレッシングとして使えるのはもちろん、こってりしたお肉にかけてもさっぱりと引き立てます。ごまドレッシングやわさび醤油など、ユニークな商品も揃っています。

甘いものが好きな方は、隣接するショップ「こめトはな」のチーズケーキも見逃せません。こちらも糀を使って作られており、濃厚な風味とシルクのようななめらかさは、一度食べたら忘れられない味です。
まとめ

日本料理の真髄を知りたい方にとって、ヤマト・糀パークは必訪のスポットです。訪れることで、シンプルな食材を複雑で風味豊かな食品へと変える「魔法の菌」糀の世界を体感できます。専用パークが設けられるのも納得、それだけ奥深い存在です。
金沢の歴史ある大野港地区に位置するヤマト・糀パークは、金沢駅から車で約30分。