自動車の街として知られる愛知県・豊田市は、実は酒造りや発酵食文化が盛んなエリア。足助や香嵐渓といった景勝地も楽しめます。本記事では、豊田観光を気軽に楽しむための基本モデルコースをご紹介します。
2026.01.14-
目次
- モノづくりの街・豊田を巡る
- haccosido(ハッコウシド)で朝食を:発酵のパワーで一日を気持ちよくスタート
- ほうらいせん吟醸工房:豊田で日本酒づくりの世界を体感する
- 井筒亀(いづかめ)でランチを:ジビエ料理から季節の料理まで地元を味わう
- 香嵐渓:四季が彩る絶景の渓谷
- 足助の歴史ある町並み:美しい伝統建築にふれる
- 1.KIKI 曲げわっぱ:洗練されたお弁当箱と漆器の店
- 2.蔵の中ギャラリー/マンリン書店:ひと休みにぴったりの癒し空間
- 3.スズマン本舗:お土産にぴったりの味噌漬けを求めて
- 4.小鳩屋:足助の手仕事が彩る、心温まる宿
- まとめ
モノづくりの街・豊田を巡る
愛知県豊田市といえば、トヨタ自動車がある「モノづくりの街」で知られています。
トヨタの「今」を知りたい方は、トヨタ会館がおすすめ。
最新の環境・安全技術やモビリティ、社会貢献活動など、トヨタのさまざまな取り組みを映像や展示物、体験物で紹介しています。
また、気軽に触れて乗り込める新型車も常時多数展示しています。
一方で豊田市は、食の発酵文化が非常に盛んな地域でもあります。
日本酒づくりをはじめ、白たまり(白醤油)や味噌漬けなど、地域ならではの発酵食が生活に自然と根づいています。

また、豊田市は愛知県で米の生産量が第1位。豊かな米どころであることに加え、山間部から流れる澄んだ良質な水が、豊田の優れた酒造文化を支えています。
本記事では、豊田市が誇る“もうひとつのものづくり”である発酵文化に焦点を当てたモデルコースをご紹介します。地元の日本酒や発酵グルメはもちろん、歴史や職人技に触れられるスポットも交え、クルマの街とは異なる豊田の奥深い魅力をたっぷりご案内します。
haccosido(ハッコウシド)で朝食を:発酵のパワーで一日を気持ちよくスタート

発酵食品の栄養とエネルギーをしっかり取り入れるなら、豊田の朝はhaccosidoから始めるのがおすすめです。
このカフェは、味噌蔵をリノベーションした心地よい空間で、味噌・たまり醤油・味噌漬けを製造する丸加醸造場が運営。すぐ隣に本社があり、つくりたての発酵食品が味わえるのも魅力です。

朝食メニューは、どこか懐かしさを感じさせる“昔ながらの和食”。
土鍋で炊いたふっくらご飯、具だくさんの豚汁、ふんわり優しい出汁巻き卵、そして数種類の味噌漬――。素朴でありながら、しみじみとおいしさが広がります。
なかでも注目したいのが豚汁。
季節野菜が器からあふれそうなほどたっぷりと入っていて、食欲を刺激します。使用されているのは丸加醸造場の赤味噌。コク深い味わいを引き出すため、前日から仕込み、味噌と具材をなじませ、味噌の角を取り、まろやかに仕上げられているそうです。
その丁寧なひと手間が、野菜の香りや旨みを引き立て、身体の芯から温まる奥深い味わいを生み出しています。

味噌漬の山ごぼうなどの副菜が添えられることで、おいしい豚汁は一日をいっそう豊かにしてくれます。こうした栄養価の高い発酵食品を朝から取り入れることで、発酵の力が欠かせない“日本ならではの朝ごはん”を体験できます。
haccosidoでは、朝食のほかにランチやカフェメニューも提供しています。
味噌・醤油・みりんといった発酵の基本調味料を活かし、肉や野菜の味を最大限に引き出した料理が並びます。

食後はぜひ、店内の物販コーナーものぞいてみてください。朝食で味わった味噌漬のごぼうをはじめ、おにぎりにもぴったりな特製味噌など、丸加醸造の発酵食品を購入できます。
落ち着いた空間と丁寧につくられた料理に癒やされるhaccosidoは、豊田の魅力に触れる旅の始まりに、ぴったりのお店です。
ほうらいせん吟醸工房:豊田で日本酒づくりの世界を体感する

2004年に開業したほうらいせん吟醸工房(関谷醸造 稲武工場)は、見学や試飲を通して日本酒づくりを間近で学べる施設です。
運営するのは、豊田を代表する酒蔵であり「蓬莱泉」ブランドを生み出す関谷醸造。純米大吟醸「空(くう)」をはじめ、多彩な銘柄で高い評価を得ています。

ここでは日本酒のエキスパートから酒造りの技を学び、仕込みの現場を実際に見られる貴重な体験ができます。

小規模な工房ならではの構造で、米を洗う工程、蒸した米に麹菌(こうじ)をつける前の準備工程、発酵中のもろみを混ぜる工程など、日本酒づくりに欠かせない工程を間近で見学できます。

仕込みのタイミングが合えば、作業の一部を体験できることも。
一般的な酒蔵は品質保持のため立ち入り制限が多いのに対し、吟醸工房は日本酒の文化を広めるために設計されているため、とても近い距離で作業を見ることができます。
また、吟醸工房は関谷醸造の本社工場とは別に運営されており、オーダーメイド日本酒の醸造にも対応しています。
農家が自分の収穫した米を持ち込み“自家製米の日本酒”を仕込んでもらったり、結婚式や周年祝いなど人生の節目のために特別な一本を依頼したりと、多様なニーズに応える独自のサービスが人気です。

見学後の楽しみは、やはり店頭での試飲ですよね。
スタッフの方に相談すると、おすすめの銘柄や飲み比べのポイントを丁寧に教えてくれます。
訪問時にはちょうど新酒が出たばかりで、しぼりたてのフレッシュな生酒をいくつか試飲できました。フレッシュで力強い香りがとても印象的でした。

ショップには、果実酒やノンアルコールの甘酒、酒粕を使ったカステラやお菓子、さらには米麹まで、多彩な商品が揃っています。
特に米麹は、自宅で鶏肉を麹漬けにしたり、自家製甘酒を作ったりと活用の幅が広く、発酵食品の奥深さを改めて感じさせてくれます。
ぜひゆっくりと店内を巡り、身体にやさしい発酵の恵みをおみやげに選んでみてください。
※蔵の見学は、営業時間内であれば専用通路からの自由見学がいつでも可能です。酒蔵の詳しい案内付きの見学・試飲は1週間以上前までに事前予約が必要です。また、その際は白衣着用(有料)などの注意事項があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
井筒亀(いづかめ)でランチを:ジビエ料理から季節の料理まで地元を味わう

足助の町並み。白壁が特徴的な大きな建物が「井筒亀」。
午後は、豊田市の山間部にある足助(あすけ)地区へ向かうのがおすすめです。かつて宿場町として栄えた足助には、趣ある町並みや職人による工芸が色濃く残り、日本の原風景のような情緒を今に伝えています。
ただし、空腹のまま散策を始めるのはもったいないので、まずは老舗の井筒亀へ。
1887年創業のこの店では、ジビエ料理をはじめ、鮎、うなぎ、旬野菜など、足助ならではの郷土料理が味わえます。
歴史ある建物の温もりと、足助の風景に寄り添う落ち着いた雰囲気が魅力です。

秋から2月にかけて足助を訪れるなら、井筒亀名物のジビエ料理はぜひ味わいたい逸品。
信頼する猟師と提携し、常に上質な肉を仕入れているため、臭みがなく、旨みが際立つ味わいが楽しめます。
なかでも人気なのが猪鍋定食。
濃口醤油ベースのつゆで、脂がのった柔らかな猪肉と季節野菜を一枚ずつ煮ていただく贅沢な鍋料理で、旨みの深さに驚くはず。しっかりエネルギーを補給したい方にもぴったりの力強い味わいです。

軽めの食事が良い方には、猪焼肉とコロッケの定食がおすすめ。
特にコロッケは”足助と言えば”と言われるほど人気で、サクッと香ばしく、本当においしい一品。隣接している販売店ではテイクアウト用としても購入できます。
コロッケには、井筒亀が本格的なジビエ料理を仕込む際に出る端肉を使用。素材を無駄にせず、大切に使い切るという店の信念が息づいています。

発酵の旨みが好きな方には、牛朴葉焼き定食がぴったり。
朴葉(ほおば)の上に牛肉と季節野菜を味噌とともに火にかけて香ばしく焼き上げる料理で、朴葉のやわらかな香りが味噌と溶け合い、香ばしく奥行きのある味わいに仕上がります。味噌と牛肉の相性の良さを再発見できる、記憶に残る一品です。
春は山菜、夏は鮎料理など、季節ごとの楽しみも豊富。
幅広いメニューがそろうため、誰でも心に残る“足助の味”に出会えるはずです。
香嵐渓:四季が彩る絶景の渓谷

足助の町並み近くを流れる巴川(ともえがわ)沿いに広がる香嵐渓(こうらんけい)は、豊田を代表する景勝地です。
川の東側には約3,000本ものもみじが植えられ、晩春から夏にかけては、まるで翡翠のように輝く涼やかな緑のトンネルをつくり出します。
そして11月になると、木々が一斉に赤や橙に染まり、香嵐渓は愛知県随一の紅葉名所として多くの人々を魅了します。

毎年11月1日〜30日には香嵐渓もみじまつりが開催され、80店以上の屋台が立ち並び賑わいを見せます。
例年、日没後は21時までライトアップされ、幻想的な光に包まれたもみじが川面に映り、まるで夢の中のような景色が広がります。

紅葉の名所として知られる香嵐渓ですが、魅力は秋だけではありません。
静かな山道、木漏れ日がきらめく遊歩道、川のせせらぎや風の音、鳥の声——四季を通して、自然に没入できる心地よい空間が広がっています。

香嵐渓を訪れるなら、ぜひ併せて足を運びたいのが三州足助屋敷。
歴史ある民家を移築してつくられた野外の民俗資料館で、木工、藍染め、機織り、竹細工など、足助の手仕事文化を体験的に紹介し、体験も行っております。

ここは「生きた民俗資料館」。
職人たちが日々作業を行っており、その技を目の前で見ることができます。
自然素材を生かした衣類やストール、轆轤(ろくろ)で挽いたお盆や器、竹ひごで編み上げる竹細工など、ここでしか手に入らない美しい工芸品は旅の特別なおみやげにぴったりです。
香嵐渓の四季の美しさと、三州足助屋敷で触れる職人技の世界。
この二つを組み合わせて巡ることで、豊田が“自然と伝統工芸の宝庫”であることを強く実感できるはずです。
足助の歴史ある町並み:美しい伝統建築にふれる

重要伝統的建造物群保存地区に指定されている足助の町並みは、江戸時代(1603〜1868)に大いに賑わっていました。
当時は、愛知・三河湾の海岸から塩を内陸へ運ぶ「塩の道」の宿場町として、岡崎から長野・塩尻を結ぶ交通の要衝だったのです。
その名残は今も色濃く残り、往時のにぎわいが感じられる貴重な町並みが続いています。
通りに面した建物は伝統的な町家造りで、一見すると奥行きがあまりないように見えますが、実際には細長く奥へ伸びる造りで、機能的で広々とした空間を確保しています。

町を歩けば、昔ながらの趣ある店が軒を連ね、ゆったりとした時間が流れています。
ここでは、足助の暮らしや文化を間近に感じられる、特に立ち寄りたいスポットをいくつかご紹介します。
1.KIKI 曲げわっぱ:洗練されたお弁当箱と漆器の店

KIKI は、伝統的な曲げわっぱのお弁当箱を専門に扱うお店です。
店主は、歴史ある「塩の道」の終着点、長野県・塩尻の出身。
故郷とよく似た趣をもつ足助の町並みと工芸に魅了され、長野の職人技を足助の人々や訪れる旅人に届けたいという思いから、2024年3月にこの店をオープンしました。
曲げわっぱのお弁当箱はヒノキを材料として作られ、炊きたてのご飯をふっくらと保ち、風味を引き立てることから、かつてはとても重宝されてきた逸品です。

KIKIには、シンプルなデザイン、漆塗り、名画をモチーフにしたものなど、多彩で美しい曲げわっぱが勢ぞろい。好みに合う一点がきっと見つかります。
また、お店には曲げわっぱ以外にも、塩尻産の上質な漆器—お椀、箸、カトラリー—をはじめ、木工の飾り物やアート作品も並びます。

どの作品からも、手仕事ならではの温かみがそっと伝わってくるはずです。
足助の歴史と「塩の道」の物語を感じさせる、心に残るお土産としてもおすすめです。
2.蔵の中ギャラリー/マンリン書店:ひと休みにぴったりの癒し空間

アートや自然をテーマに丁寧にセレクトされた本が並ぶ「蔵の中ギャラリー・マンリン書店」は、まるで物語の中に迷い込んだような場所。
趣ある蔵をリノベーションした建物には、スタイリッシュなギャラリー、落ち着いたカフェ、そして本屋が調和するように併設されています。
足を踏み入れた瞬間、まるで時間がふっと止まったかのようでした。
美しいビジュアルで魅せる本は、外国語のものも多く、さらに伝統的な文具も揃うなど、アートや自然、物語を愛する人にはたまらない宝箱のような空間です。

奥のギャラリーでは、洗練された空間デザインと定期的に替わる展示が訪れる人を惹きつけます。
美しい日本の美術書も並び、思わず腰を下ろしてページをめくりたくなるはず。

中央にあるカフェでは、香り高いドリップコーヒーや自家製チーズケーキを味わいながらひと息つけます。
品のある雰囲気と心に寄り添う一冊との出会いが楽しめる「蔵の中ギャラリー・マンリン書店」は、足助までわざわざ訪れたくなるほどの豊田市の隠れた名店です。
3.スズマン本舗:お土産にぴったりの味噌漬けを求めて

豊田の名物・味噌漬けを手に入れるなら、老舗「スズマン本舗」へ。
1902年創業のこの店では、代々受け継がれてきた伝統の製法で、丁寧に味噌漬けを作り続けています。

訪れた際には、店主が漬け込み前の菊芋を見せてくれました。
新鮮な素材を手仕事で仕込む様子から、味へのこだわりが伝わってきます。
なかでもおすすめは、山ごぼうと菊芋の味噌漬け。
ご飯のお供にはもちろん、肉料理の付け合わせにも相性抜群で、さっぱりとした風味がクセになる美味しさです。
特に11月は狙い目。香嵐渓の紅葉まつりが開かれるこの時期に、毎年新作の味噌漬けが店頭に並びます。
旬のおいしさが詰まった発酵グルメをぜひ味わってみてください。豊田土産としても喜ばれること間違いなしです。
4.小鳩屋:足助の手仕事が彩る、心温まる宿

足助の魅力をじっくり味わうなら、宿泊は「小鳩屋」がおすすめ。
伝統建築を美しく改修したモダンな宿で、旅の拠点として心地よい時間を過ごせます。

オーナーの鳥居智子さんは碧南市出身。
東京とカナダでの生活を経て、2007年にこの宿をオープンしました。建物を一から手がけ、館内には「三州足助屋敷」の職人から直接仕入れた工芸作品が随所に並びます。
客室は木の温もりが漂うシンプルで上質な空間。照明や家具は特注品で、外観は本来の姿をそのまま継承しており、歴史ある足助の街並みに自然に溶け込んでいます。

朝食はオーナー手作り。和食と洋食から選べ、和食は味噌汁・ご飯・卵料理・小鉢、洋食はこだわりのコーヒー・パン・卵料理・チーズなど、どちらも一日の始まりを心地よく整えてくれる内容です。

昼間はカフェとして営業しており、天井まで届く大きな窓からは穏やかな外の景色が広がります。地元の手仕事に囲まれた落ち着いた空間で、ゆったりとしたひとときを過ごせる、まさに足助らしさが詰まった宿です。
まとめ

この旅程を通して、「自動車の街」というイメージだけでは語りきれない、豊かな文化をもつ豊田市の魅力を感じていただけたでしょうか。
中心市街地へのアクセスは便利で、愛知環状鉄道の「三河豊田駅」や名鉄線の「豊田市駅」など、主要駅からスムーズに移動できます。
名古屋から足助エリアへ向かう場合は、いくつかのルートがあります。
地下鉄で「浄水駅」まで行き、とよたおいでんバスに乗り換えて足利方面へ向かう方法、または地下鉄で「豊田市駅」へ行き、足助方面行きの名鉄バスに乗り換える方法があります。
さらに、名古屋駅から名鉄線で「東岡崎駅」へ向かい、そこから名鉄バスで足助へアクセスするルートも可能です。